遥か彼方の高みに飛び出していったロケット。
真っ二つに割れた校舎の時計台。
そして――――ぽつんと佇む少年ひとり。



既に点のように小さくなってしまった六つの影、空に雲をひくその軌道を目で追って―――― あぁ、 空が青いなぁ。

思わず現実逃避しかけるノワだったが、一拍遅れて、はっとして思いっきり首を振る。
そもそも自分が学校ここにいる理由は『ミエルを守る』ためだ。 このような事態は想定外だとしても――
もしも、あのひとにばれたりしたら……(ガタブル)

うん、絶対なんとかしないと!

自身の想像に思わず身震いした後、決意も新たに拳を握る。
しかし実際の話、何をするべきなのか。後を追いかけるにしてももうここにはロケットは残っていない。どうにかして彼女達の向かった先――おそらくは彼らの担任が消息を絶ったという『風の星・コットン』――に行く方法を見つけないといけないわけだが……


そのとき、懸命に思考していたノワの耳に校長が小声で呟いた言葉が届いた。

「うむむ、まずいのぅ。………皆、無事に着陸出来ればいいんじゃが」

……………………………………………………………。
……ちょっと待て。“無事に”ってなんだ。

胡乱げに見返すノワに気付くと校長は途端に慌てた様子で視線を明後日の方向に逸らし、咳払いをする。
白々しい誤魔化しの態度。

ぴきっ
(……まずは偉大なる大魔法使いにして我が校の校長先生に いろいろと詳〜しく 話を訊くことから始めようかなぁ。)

既に握っている拳を先程とは全く別の意思を込めて再び力強く握り締めるノワであった。
このあと、グラン・ドラジェはちょっぴり力技で問い質されます。
しかし、ノワにとって有力な情報は得られません。
ノワ少年はあんまり役に立たない校長は放っておいて他の先生方に相談しにいきます。
少なくとも、一刻も早くミエルと合流しておきたいので。
例の「あのひと」にばれる前に何とかしようと必死です。(笑)