沈む紅
無人の海岸
    洞窟

――渦を巻く虚



――ー…ブ……ハーブ…――

誰かが自分を呼んでいる。

――シャァァ…
突如射し込んだ光に視界が一面、白く染まる。
(っ、 ま ぶし…、)

そこで少年は目を覚ました。
プロローグ...
始まりの朝
「あ、ハーブ!起きた?」
「――、ふあ…おはよー」

窓の側に立つ金髪の少女が声を掛けてくる。朝日を背に逆光の中、「おはよう」と笑い返す姿を目を細めて見つめる。カーテンに遮られない陽の光が寝起きの瞳には眩しい。

(…なんかへんな夢見た気がするー)

海岸…洞窟…あとなんだったか…
ボンヤリ残っている夢の断片をまだ寝惚けた頭で思い出そうとするが、

《おはよーおはよー!ハーブは今日もねぼすけーなの》

ふわり。少女が開けた窓から、爽やかな風と一緒に部屋へ入ってきた小さな丸い空色がクスクスとからかいの言葉を寄越してくるので、少年の意識はそちらに移ってしまった。

「ねぼすけってひどいな〜エア。ちゃんと起きてるよーいつも!」
「えぇそうね。寝坊になる前に起こしに来てあげてるものね〜?…でもそろそろ自分で起きれるのかしら?」
 姉さんもう毎朝起こしに来なくていーい?

ハーブが頬をふくらまして反論すれば、それまで傍観していた少女までが口を挟む。
意地悪く口の端をほんの少し持ち上げて、ちらりと視線を投げてくる双子の片割れに少年が慌てると冗談よと笑みを返される。

「さっ!ふざけるのはこれくらいにして、ご飯たべよ。 ホントに遅刻はしたくないでしょ。」

――――今日から待ちに待った臨海学校よ!
やっと始動しましたマジバケ小説!
無事ラストまで書き上げることができるのかと今からどきどきです←