いのちのほのお


少年は戦場に立つ。
その身に弾丸を受け止め死を乗り越えて。
黒衣の赤子が放つ弾丸によって、少年のしんぞうは内側で一度爆ぜてそして再び外界で復活する。
眉間を穿たれる度に己というイノチの終わりと始まりを繰り返す。悔いを殺し叩き起こされた意志が産声をあげる。
その額には煌々として揺らめく橙色。
気力の集合体であるそれは炎の形状を模している。曰く『死ぬ気の炎』と呼ばれるその塊は性質も炎のそれに近く熱気を帯びている、らしい。…というのも、それを身に纏う本人にはその熱を感じることがないから、少年自身には今一わからない。
頭上にそれを灯す時、解っているのは、唯、己のすべきこと。何をしたいかという意志。それだけが自身を動かす原動力になる。
それを成すまでは尽きるまいと、己の役割を全うしようと主張し叫んで燃える炎が、少年の中に眠る力を呼び覚まし突き動かすのだ。



… ボッ … ボボッ … ボッ …
  ( …ドクン…ドクン…ドクン… )

視界の直ぐ上、揺らぐ灯火と。内から聴こえる脈動とが共鳴しあう。
だんだんと近づいてやがて重なり合いひとつとなる。

 … ボッ … ボッ … ボッ …
( … ドッ … ドッ … ドッ … )


それはまるで、 心臓が内と外、ふたつ在るような。



しんぞうの在処

死ぬ気の境地に関する考察のようなSS。

そもそもは一緒にアニリボを見ていた妹が、ツナが零地点突破改をするときのノッキングをみて、心臓の鼓動に似てるとつぶやいたのが元ネタなのですが。・・・ぽちぽちケータイで執筆中に目的地を見失ってしまいました(撃沈)