少年は戦場に立つ。
その身に弾丸を受け止め死を乗り越えて。
黒衣の赤子が放つ弾丸によって、少年のしんぞうは内側で一度爆ぜてそして再び外界で復活する。
眉間を穿たれる度に己というイノチの終わりと始まりを繰り返す。悔いを殺し叩き起こされた意志が産声をあげる。
その額には煌々として揺らめく橙色。
気力の集合体であるそれは炎の形状を模している。曰く『死ぬ気の炎』と呼ばれるその塊は性質も炎のそれに近く熱気を帯びている、らしい。…というのも、それを身に纏う本人にはその熱を感じることがないから、少年自身には今一わからない。
頭上にそれを灯す時、解っているのは、唯、己のすべきこと。何をしたいかという意志。それだけが自身を動かす原動力になる。
それを成すまでは尽きるまいと、己の役割を全うしようと主張し叫んで燃える炎が、少年の中に眠る力を呼び覚まし突き動かすのだ。
… ボッ … ボボッ … ボッ …
( …ドクン…ドクン…ドクン… )
視界の直ぐ上、揺らぐ灯火と。内から聴こえる脈動とが共鳴しあう。
だんだんと近づいてやがて重なり合いひとつとなる。
… ボッ … ボッ … ボッ …
( … ドッ … ドッ … ドッ … )
それはまるで、
心臓が内と外、ふたつ在るような。
しんぞうの在処
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AnneDoll
(update:2008.01.04ブログ掲載/2008.02.02サイト再録)
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