彼は主張する。これは極めて重大な事件である、と。



G氏の主張



「納得いかねぇ!!」

ダンッ
握り締めた拳を垂直に振り下し机を鳴らす。
そのいきなりの行動に驚いたクリスは研究書類を整理していた手を休めてゴールドを見る。

「ちょっと!せっかくまとめた書類が散らかっちゃうじゃない」
 いきなりなんなのよ、もう。

非難の眼差しを送るクリスに対してゴールドはギッと睨み返す。その顔は目が据わっているというか恨めしげというか、とにかく異様な迫力を持っていた。
ゴールドの様子に怯みつつ、クリスは一体何が納得できないのか尋ねてみる。
すると返ってきたのは、

「なんでオレだけ出番が無ぇーんだよーーーーっ!!」

という言葉。

(はぁ? なに言ってるのよ、ゴールド)

呆れるクリスをよそにゴールドは喋り続けていた。

「そりゃレッド先輩方は当然だから文句なんてねーけどよ、なんで麦わらギャル…じゃなかった、イエロー先輩とかシルバーの野郎まで出てきてんだよ。いや、イエロー先輩が出てくんのが悪いっつーワケじゃねぇぜ?けどだったらオレだって出してくれよ!!大体なんだよシルバーなんかさらわれてやがるじゃねーか、へっ なっさけねーの!オレだったら華麗に返り討ちにしてやったに違いないんだまったくバカシルバーアホシルバー」

後半は個人的な(しかも幼稚な)悪口に逸れてしまっているが、どうやら現在ナナシマで起きている事件のことを言っているらしい。(なんで知っているのかなんてことは聞いてはいけない)先程の「出番がない」発言はシルバー達が出ているなら自分も出せ!ということだろう。
ばかばかしさにクリスは溜め息を吐く。

「あのねぇ ブルーさんやシルバーにはご両親の問題もあるしレッドさんたちは危険な戦いの最中なのよ!(だからなんで知っているのかなんて聞いてはいけない)それなのに出番がどうのってそんなことで騒ぐなんて不謹慎でしょ!」

クリスはゴールドをそう言って窘めるが、その言葉にゴールドの発する気配がいっそうドロドロとしたものになる。

「“そんなこと”だとぉ〜っ そりゃクリスはいいよなぁ〜?『エメラルドを送り出した謎の黒幕』っつってホウエンの方に登場したもんなぁ〜?既に出番貰った奴は余裕ですな〜」

今度はクリスに対して文句を言いはじめる。(やっぱりなんで知っているのかなんて以下略)管を巻いてクリスに絡んむ姿は、たちの悪い酔っ払いのようである。(「ちょっと! 黒幕って人聞きの悪いこと言うのやめてよねっ」というクリスの言葉も無視されてしまった。)

「つい最近終わったと思ったホウエン編の宝石組はすぐにバトルフロンティア編に出てきてさ、(やっぱり…以下略)……もう歴代主人公の中で登場してないのオレだけなんだぜ、オレだけ、オレだけが…っ!!」

訂正、机に突っ伏してブツブツと話す様子はもう立派な酔っ払いである。
さすがにウザくなった同情したクリスはそっとゴールドの肩に手をのせ優しい声音で慰める。

「まあまあ そんなに悲観することじゃないわよ、きっと今後カッコ良く登場するかもしれないじゃない!…元気出しなさいよ、ゴールドらしくないわ」
「うっせ〜〜! 既に出番貰った奴にはオレの気持ちなんてわかるもんかっ!!」

その甲斐も虚しく、クリスの手ははらわれてしまう。
そのまま黙り込んでしまったゴールドにどうしたものかとクリスが困っていると、しばらくして急にゴールドが立ち上がり叫んだ。

「〜〜っし、決めた!!こうなったらオレは北(シンオウ)に行くぜ!
 今度のダイヤモンド・パール編はこのゴールド様が主役に決定だ〜っ!!

そしてそのまま飛び出していってしまう。
あとに残されたのは、呆然としたクリスの姿だけであった。



G(ゴールド)氏の主張=「オレに出番をくれ!!」
※空空はゴールドが大好きです!
ギャグですのであんまり深く考えないで下さい(苦笑)

これでも一応ダイヤモンド&パール発売記念に書いたやつでした。


いまさらですが、三章以降、本誌にゴールドって出てきてないですよね??
私のポケスペ知識はコミックス+公式HPなので遅れ気味なので少々不安が…。
(いえ、既にゴールドも登場してるならそれは嬉しい限りですけれどもね!)